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共生 脳を支配するもの ~5周年記事~ [高次脳_ふと感じたこと]

※この記事に自問自答していて、更新が遅くなりました。

 

5年たったいま、乱高下はあるものの総じて就労が上向きになってきました。

こなせることも増えてきて、それなりに残業することも。

昨年は「こなせないことが多い」と会社からダメ出しを受けましたが、
今年はなんとかドローに持ち込みたく、自分なりに奮闘しているところです。

 

 

ちょうど今、受傷5年後の各種神経心理テストを受けているのですが、相変わらず新しいことを覚える力や暗算など、主に前頭葉機能まわりは不具合を感じます。

今年のスコアがどうなっているかまだ判りませんが、今までの臨床スコアは、受傷後2-3年くらいまでが回復のピークで、そこから劇的な向上はあまりみられません。

 

 

でも就労上では、昨年(受傷後4年目)と今年(受傷後5年目)を比べると、パフォーマンスが向上しています。

自己評価だけでなく、たぶん雇用側の評価も同じ認識かと。

 

臨床スコアは大きく変わっていないのに、なぜ、このタイミングで就労上のパフォーマンス向上が起こるのか?

 

ここからは、私的な感想。

 

 

○実脳機能の向上。

確かに、脳機能の回復自体は2-3年で頭打ちのイメージがあります。

しかし、そもそも臨床スコアで評価取得できる項目自体、就労上で使う脳機能の一部や主要な部分のみを抑えているにすぎないとも思っています。

臨床スコア上には出ないけど、社会生活・就業経験の積み重ねで、検査に出ない脳機能や、残された脳機能が学習・向上していると、誠に勝手ながら感じています。

そして、失われた機能をある程度補完・代替し、複雑でない業務の、スピード・クオリティは向上してきたのを実感してます。

 

「それでも脳は向上する」

 

 

○自身の障害の受容。

これは、前回、前々回の記事を見てね。

ここまで自分を振り返れば、受容困難と言わる障害受容も促進されるし、100%保証できるものではないけど100%諦めることもないよ、というのは言い切れます。

 

「それでも脳は自分を受け入れる」

 

 

○代替手段の習得・熟達。

メモやレコーダーや速記、コミュニケーション技量、スケジュール管理、タスク管理、情報整理などなどなど、あげるときりがないのですが、いずれも毎年進化しているのを感じます。

たとえば、メモの取り方。

以前よりも、メモをとる量が少なくなってきました。もしかしたら記憶力の向上があるのかもしれませんが、それよりも、どこを記録すれば効率良くメモが取れるようになるかを習得してきた感じがしています。

効率を上げて負荷を下げれば、その分、他の作業に能力を回せます。

 

「それでも脳は学習する」

 

 

○支援者のマネジメントの重要さ。

高次脳機能障害は、本人が自分をマネジメントできなくなる障害なので、軌道に乗るまでは、支援者のマネジメントが極めて重要だと感じています。

ついつい負荷をかけすぎたり、過度に悩みすぎたり。

事実、今でも薄く長く、リハ介入を継続しています。

近親者への報告は感情が入りやすいですが、専門職や第三者への客観的な報告は、客観的な指摘を得ることが可能。プラス自分の客観的な振り返りにも貢献。
結果的に、安定した就労につながったと認識してます。

 

「それでも脳は人を頼る」

 

 

○周囲の理解の必須。

もちろん職場の方々には、「高次脳機能障害」を有しているというのは伝えてあるのですが、当初は「全般性不安障害」などの、「症候群、シンドローム」ぐらいの認識でしかなかったと感じます。

現在の就業先で2年経過したのですが、就業上関与が深い方は、たぶん「この人、サボってるんではなくて、本当に不具合があるんだな」というのをリアルに感じていただけるようになりました。

そして理解だけに留まらず、実際に就労環境の調整に対応していただき、昨年より、残された機能でこなせる業務内容へとシフト。
上向きになった主要因です。

逆に言うと、こんなブログ書いたり講演したりできても、いわゆる普通の会社で働く以上は、周囲の配慮がないと就労は円滑にはいかないと感じます。


金八先生のお言葉。

”人という漢字、人は人によって支えられている”

 

「それでも脳は人を信ずる」

 

 

○自信・自尊心の回復

前回、自身の振り返りや布石をザッと書きましたが、それよりはるかに多くの経験を、就業上で実体験しており、その積み重ねが自信とつながっています。

これはどの病気・障害でも共通なのかもしれませんが、自己認識機能が失われる高次脳機能障害の場合、特に再構築が難しいのも事実です。

マイペースで積み重ねること、そこを支援者がマネジメントすること、達成したことは必ず記録すること、この3つを意識してやってきました。

 

記録は記憶のために。

記憶は未来の自分のために。

 

「それでも脳はプライドを取り戻す」

 

 

 

私が通うグループリハの、当事者のお母さんのお話し。

 

息子さんは、数年前はとても手がつけられず表にも出せない状態でしたが、今年から就労が決まり安定してきたとの話を、先日伺いました。

 

「落ち着いた要因は?」と聞いたら、雇用先の上司や仲間がとても理解のある方で、とても良く障害のことを理解して対応を頂いているとのこと。

何よりも、「仕事に行くのが楽しい」そうです。

そして、生活全般も落ち着いてきているとのこと。

就労が安定すると、問題行動なども減ります。

 

なぜならば、客観的な社会的評価を得られるから。

障害を抱えても、自分の存在が社会から認められるのを感じると、上向きに転換すると信じます。


そして、
周囲も否定しなくなり、
自分自身も否定しなくなり、

そこに初めて、共生の場ができるというのを、自分も経験しました。

 

 

 

脳を支配するもの。

 

それは脳機能ではなく、

自分の想いやビジョンではないかと、

5年目にして切に感じています。

 

 

 

5年たって、この障害と一生共生していく自分の姿が、やっと見え始めてきました。

 

障害は、なかったことにはできません。

だけど、「人生半ばで病気で記憶が悪くなった一人の生活者」として社会と共生していくことは、可能であると信じます。

 

「それでも自分はあきらめない。」

 

 

同じ高次脳機能障害の知人達と、飲みながら良く語る言葉があります。

 

「ワレワレが戻る社会は二つあるわけではない。戻る社会は一つである」


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