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各駅停車の旅 ~一次元の世界~ [高次脳_ふと感じたこと]

受傷後、働き始めてどのくらいたった頃か明確に覚えていないのですが、本格就労がはじまって少し経ってからだと思います。ある日、STさんにこんな相談をしたことがありました。


僕「全ての業務において、一つの事を完結させないと次の仕事に進めないんですが。。。例えば、とある作業やりながら、終わる前に別の作業を頼まれてやると、先にやっていた作業がどこまで進んでいたか覚えていなくて一から確認して作業をはじめようとすると、そのころにはまた別の作業が入ってきて。。。で、また一から確認してと、堂々巡りなんですけど。」

STさん「それは各駅停車と快速電車の感覚に近くはないでしょうか?。快速や特別快速のように、駅を飛んでいくことができなくて、途中までしていた作業も一つずつ最初から確認しないと前に進めないんですよね。」

あたりです。

先日このことを、グループリハに通う比較的受傷状況が近い同じ患者さんにも話してみたら、同じとのこと。
そこの何とも言えないもどかしい負担で、神経を使いきってしまって、日々伏身している部分も同じ。

この感覚このもどかしさは、当事者でないとわかりえない部分なのかなと感じます。
近親者でもわからないかと。

例えるとこんな感じでしょうか。
以前は、全国主要都市に向える新幹線だったのが、今は行く先一つの各駅停車1本の旅に。

とにかくスケジュールは、重複したり持ち越したりしないように。
不測の事態や汎用力が求められる状況には、身を置かない事も重要。
処理できないときには頭がフリーズしてしまうので、フリーズした時は潔くあきらめて気持ちを切り替え術を起動。

行動が立体的に組めないんだよね。
医学的には、遂行機能や見当識の欠損とでもいうんでしょうか。いずれにせよ同時処理とかマルチタスクと呼ばれるものは厳しかったりします。




とにもかくにももどかしい。



そんな状況下の就労復帰だったんですが、一つ言えるのは、定型的業務にシフトするのが効果的でした。
あとペースも、お客さんペースではなく社内&ゆとり定型ペースに。
そんな簡単に雇用側が応じてくれるかわかりませんが、障害が表に現れる機会はとても減りました。




先月植えたイチゴ。花が咲きました。
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一輪だけど、嬉しいですね。
ゆっくりだけど確実に成長してます。
うまくいけばイチゴの実になるんですよ。
楽しみです。


子供と犬の散歩に行ってきました。
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両方ともおちびちゃんですが、影の長さに、季節と子供の成長を感じます。
二人とも、受傷後に産まれてきた新しい生命です。


自分がどんな速度の旅をしようとも、一日の速さは変わらず。

陽が登らない日はないからね。

そう思うと、受傷後の新しい自分のペースを持つことが大切だと、受傷後4年たった今でも痛感しています。


一次元一軸の世界なのかな。
新しい僕の世界は。

新しい人生を楽しんでやろう位の気持ちで、最近は挑んでいます。
普通の人では体験できないからね。
こんな不思議なこと。

最近挑んでいること。
新しい自分の時間軸を見つけること。


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秋の週末のボクノート~恒例イベントで記憶をたどる [高次脳_ふと感じたこと]

週末、長野県伊那市にリンゴがりに行ってきました。
我が家の11月の恒例イベント。
2005年からここ8年ほど続いている、年に一回、親戚一同集まってのイベントです。

たぶん8回目、受傷後5回目のリンゴがり。
今年は天気が悪かったけど、リンゴは美味しかった。
ringo.jpg
と言っても、実は僕自身、8回も行った認識はなかったりします。
過去の記憶が、若干いい感じになくなっているので・・・。
おまけに、受傷後の記憶形成も良くはないため、受傷後に5回も行っていたなんて認識もなかったりします。
うーん、さっきまで受傷後2-3回目のリンゴがりのイメージだったんですが。。。
事実は5回目だったんですね。
過去の写真を確認しながら、今この記事を書いているんですが、ちゃんと2005年からのリンゴがりの写真が残ってました。
    
    


写真は嘘つかないからね。
 
 
自分の時間経過の認識と、実録にギャップがあるんだなと、改めて感じているところです。
 
 

 
ふぅ。
 


 
受傷後の時系列の記憶形成が、あまりよろしくないのが自分でもわかります。
記憶の形成、恐るべし。
でもこうやって記憶形成に難があることを自分で気付き始めると、この障害との付き合い方がまた一歩前進した気にもなります。
ここは、徐々に良くなってきている証だと、捉えよう。


リンゴがりの後、信州駒ヶ根名物みそかつ丼を食べに行きました。
何店舗かあったのですが、人気店の明治亭というお店に。
混んでいて妻と子供たちが並んでいたのですが、そこで事件発生。

黄金伝説の行列のできる店の取材で、U字工事が突如やってきました。順番待ちのボードに記入して、寒い中順番待ちしてましたよ。
yoyakuban.jpg
 
 

 
撮影であわただしい中、駒ヶ根名物のソースかつ丼をいただきました。
so-sukatudon.jpg
僕は映ってないですが、子供たちはインタビュー受けてました。
オンエアされるかお蔵入りになるかわかりませんが、いいサプライズいい記憶。


そして翌日。
 
  
晴れ。
 
  
すぐに帰らなくてはいけなかったのですが、いちょうの落ち葉がきれいな一角があったので、ちょっと立ち止まってパシャリ。
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箕輪町広域農道沿いの「きぬた農園」。

まさに黄金の絨毯。

こんな感じで8回目のリンゴがりはゴールドな感じで無事に終了。
サプライズもあって、印象の強いイベントになりました。

そしてこの記事を書きながら、8年前のリンゴがりの写真から順番に見返しているところです。
8年間、子供たちもみるみる成長しているのがわかります。

そう考えると、時系列で記録を積み重ねていくことはとても重要ですね。
今年のリンゴがりが受傷後5回目だったとの認識は、本当になかった。。。

 
デジカメ導入してからの過去8-9年分くらい沢山写真を撮るようになっていて、その時点では後日こんなに役立つものだと意識して撮っていたわけではないのですが、結果的にそこから取り戻した時系列の記憶と自尊心みたいなものは大変大きいと感じています。

 
幸いにも、世の中、こうやってデジカメやインターネットやクラウドサービスなど、どんどん便利になってきているので、活用できるものは活用していきたいですね。
特に記憶の障害者にとっては、記録が記憶に、そして次の一歩を歩んでいこうという礎や自信になると感じています。
こうやって、毎年の恒例イベントなんかは、記憶の時間軸が再構築しやすいのでお勧めします。

 
5年10年先の自分のために、これからも記録は取り続ける予定。
 
 
   

 
記録の達人。
自尊心の蘇り。

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秋の週末のボクノート~記録の大切さ~ [高次脳_ふと感じたこと]

最近自分の中でメモの役割が大きく変わってきました。
以下、週末のボクノート。
 
今週末は、学芸会と七五三が重なってあたふたした週末でした。
長男は、宮沢賢治の童話「雪わたり」の権三郎(主役)を演じました。
学年で立候補&オーディションがあって選ばれたそうです。
ただし主役は4人いますが。。。
最後のコマでの登場だったけど、とりをばっちり決めてました。
yukiwatari1.jpg
よくぞ大役をやりきった。

 
長女は「世界宝物コンクール」で、しんさ員を演じました。
しゃべりはちょっとだけだったけど、上手にできました。
写真を撮ることに集中していたので話のあらすじがわからなかったんですが、あとから調べてみたら大人も考えさせられる結構いい話なんですね。
sekaitakaramono1.jpg
緊張気味だったけど、がんばってました。


 
無事に小学生の二人のイベントは終了。
帰り際に校庭からふと見上げたらいい色の柿が。
「食べたら怒られるかな?」とふと思いながら帰路に。
kaki.jpg 
そのあと午後からは、次女の七五三のお参りに行ってきました。
sitigosan.jpg 
倒れた時にはおなかの中にいた娘の晴れ姿を見れてなにより。 
     
    
    
庭のシンボルツリーのジューンベリーも絶賛いい感じに紅葉中。
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ちょっと山奥に行ったら紅葉すごいきれいなんだろうな。きっと。
 
 
 
 
こうやって、我が家の秋のイベント1は無事に終了。
1というのは、来週もイベントがあるからです。
今週末は大きなイベントが重なっていましたが、同時に日常のちょっとした「いいな」と思ったこともしっかり記録することの大切さを、社会復帰3年たって痛感しています。

特に僕の場合、過去数年分の記憶喪失と、同時に新しいことを記憶することが弱くなりました。
そのため、印象の強いことや自分が興味を示したものは比較的記憶形成されやすいのですが、そうでないちょっとした日常の出来事なんかは記憶形成されないことが大半です。
そして復職過程では印象の強い失敗体験がなにかと多く発生し、日常のちょっとした嬉しいことや幸せなことは見逃されて記憶形成されていったと感じています。
   
印象の強いことしか覚えられないんだったら、印象の弱いちょっとした前に進んだことや嬉しかったこともしっかり記録していこう。
 
どうせ記録をとるんだったら、ちょっとだけ幸せな方向でとっていきたいね。

ここを何となく意識しはじめ、何となく日々の生活の記録もしっかりとるようになってから1-2年が経過。
とったものが数年分積み重なってきて、はじめてメモの大切さがわかってきました。

   
記憶の障害者にとって、記録をすることは記憶をすることであり受傷後の自己基盤につながります。
メモは単なるメモではなく、これからの自分を創っていくものである。そう思うようになりました。
 
メモのとり方は人それぞれだと思いますが、スケジュール帳にちょっと一言メモしてあるだけでも、あとから記憶を呼び起こしやすかったりします。
手法は、手書きでもgoogleカレンダーでもカメラでもなんでもOKかと。

   
取ったら振り返りを。

それを毎週末見直すだけでも効果的。
まとめてみたりするともっと効果的。
ひと手間かけると記憶もできる。
まとめたものを誰かに報告できたりするのもいいですね。
このブログとかがそうだったりして。
それを1ヶ月の出来事として、リハやグループカウンセリングで話すのもあり。
さらにまとめて病院の患者会などで話すのもあり。

そんなことを積み重ねていっていたら、メモは単なるメモに思えなくなってきました。

大げさかもしれないけど、記憶の悪い僕にとって、メモの取り方ひとつで今後の人生が変わる可能性もあり、メモは必要に迫られて取るだけではなく、これからの自分を創るものでもあると感じます。
最近自分の中でのメモの役割が変わってきたのと同時に、障害に対する認識にも変化があったと感じます。
少しずつだけど、きっとこの障害との付き合い方がだんだん見えてきた証と信じよう。
※受傷程度や環境等により異なるので、あくまでも僕個人の主観です。

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府中市講演をしてきました。 [高次脳_講演・社会活動]

今日は朝からいい天気でしたね。
これぞ秋晴れって感じの天気。
秋晴れって言ってももうすぐ立冬ですが。

実は今日、府中市で講演をしてきました。

会場や席数の都合もあり、事前案内は控えさせていただきました。


昨年の病院での講演がきっかけで、今回の講演が実現。
30分33枚のスライドで挑戦してきましたよ。
主に自分が就労復帰においてどんな工夫をしてきたか?についてお話しさせていただいたのですが、4年分を30分でギュッと話すのはなかなか難しいですね。時間がちょっとオーバーしてしまってすいませんでした。
でも頑張って話してきましたよ。
笑いも取りました。


話した内容は、
・復転職で苦戦したこと
・不のスパイラルが発症したこと
・それを解決するために策をもったこと
・記憶基盤を創る時に、正の基盤づくりを意識したこと
・指標がペースを保ってくれたこと
・いろいろトライしたが、この障害をなかったことにはできなかったこと
・その結果、自己宣誓をし正の基盤づくりを牽引したこと
・記録が基盤を育んでくれること
・メモはメモではなく、これからの自己基盤を創っていくものであると信じていること
・復職猶予期間は時短・負担軽減ではなく、できるとこ探し期間であってほしいこと
・当事者が障害と向き合う力を奪わないでほしいこと


講演後の質問で、うつ病のスパイラルに近い部分があるんじゃないかとご質問を頂きました。
確かに似た部分はあるとは思いますが、決定的に違うのは、過去の記憶と新しいことを覚える機能が物理的に失われていることです。
思考がネガティブ状態で連鎖しているのではなく、ネガティブだと思うくらいインパクトが強いことでないと記憶形成されず、その状態で自己基盤を創りなおしていくときにネガ情報偏重でインプットされることが主因だと捉えています。
事実、僕の場合は過去にSSRI・SNRI等の治療介入していません。
患者さん・病態によって異なると思いますので、ここは僕個人の病状であることご了承くださいませ。


そんなこんなで、何とかやりきってきました。
これを糧に、また一歩ずつ進んでいこう。

今日の記憶のために、会場への道でとりあえずパシャリ。
0361.jpg
前に見える大きな木のふもとには、古墳があるらしい。
古墳なんて見るのいつぶりなんだろう。
きっとここに偉い人が眠っていて、それが忘れられないように作っているんだろうね。
いい天気。
いい経験。
いい古墳!?

かなりギャップがあるエピソード記憶になりそうだけど、こんな日があったことは記録しておこう。

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